「今どきの子は情けない」、「指導をすればパワハラと言われる」と嘆く上司と、「まともに自分のことを評価してくれない」「昔の価値観を押し付けてくる」と不満に思う部下の対立は、ありとあらゆる職場で巻き起こっていることでしょう。
この対立を解消するには、お互いが相手への偏見をなくして歩み寄る以外にありません。
まず上司側は、「怒られるとすぐ辞める今どきの子」というステレオタイプに囚われすぎている気がします。
そもそもいろんな人がいるわけですから、「今どきの子」という括り方に無理があります。
最初からそういう目で見ていると、少しでもそういうところが見つかると「やっぱりこいつは軟弱なやつだ」となってしまいます。
人間いろんな面がありますから、誰にもそういう部分はあるのに、それが全てと判断してしまうのです。
さらに不思議なもので、人間そういう性格だと相手に思われていると分かると、本当にその性格に寄っていってしまいます。
「自分はこういう性格なんだ」と思い込んでしまってその殻に閉じこもってしまうのです。
部下を指導する立場として、部下のことを正当に見ようとしないのはどうかと思います。
中には、どうせ今どきの子だと最初から育てるのを放棄しているような上司もいます。
そうなってくると、じゃあなぜ採用したのかという話になってきてしまいます。
一方で部下の側ですが、上司のやることなすことを全て悪意ととるのはよくありません。
もちろん本当に悪意でパワハラをする人もいますし、そういう人は論外ですが、上司も部下を育てるという使命がありますから、部下のためを思って言ってくれています。
口酸っぱく自分の課題点を指摘する上司は、むしろいい上司だと思うべきです。
そんな相手の恨みをかうかもしれないことを、普通ならわざわざ言いません。
しかし「言ってあげないとこいつは恥をかくことになる」と心配して、恨まれること覚悟で言ってくれているのです。
それを全てパワハラだとか言ってはねのけるのは、あまりに狭量だといえます。
上司が善意で言っているのか、悪意で言っているのかをちゃんと見極めてから判断するべきです。
「怒られるのが怖い」という人もいるでしょうし、もちろんいきすぎた怒り方はよくありません。
しかし一番怖いのは、問題行為をしているのに誰も怒ってくれないことです。
それは見捨てられているということで、確実に裏では文句を言われています。
そう思うと、「言われるうちが花」というのは金言です。