誰しも何か他人よりも突出している才能があればと思ってしまうものですが、そんなものは持ち合わせていない人がほとんどで、僕もその1人です。
しかし才能がない人間でも結果は出せますし、そんな人はいくらでもいます。
そういう人はどういう戦い方をしているのか、についてです。
人一倍努力している、なんていう安易な結論ではありません。
そういう根性論は嫌いですし、努力しても結果に結びつくとは限らないというのが僕の考えです。
自分の才能で勝負できないのであれば、他人の才能を借りればいいのです。
自分の力で勝負しないのは卑怯じゃないかと言われるかもしれませんが、僕は常にこのやり方で乗り切ってきました。
もし自分の実力で全て乗り切れるとわりきってやっていくのだとしたら、とんでもない実力と才能が必要です。
僕は自分にそんなものが備わっていないと自覚しているため、躊躇なく他人の力を借ります。
たとえ卑怯といわれようと無理なものは無理です。
むしろ意固地になって結果を出せないことの方が問題なんじゃないかと思います。
だから僕は職場などでは、最初から全力で先輩に好かれにいきます。
先輩に教えてもらえないとやっていけないと分かっているからです。
たまに入社したタイミングから、自分の実力でやっていくといわんばかりに先輩を拒絶する人がいますが、仮に僕がそんなことをしていたら、今頃僕は終わっていると思います。
別に媚びるわけではありませんが、「こいつになら教えてあげたい」と思ってもらえた方が万事上手くいきます。
新人の時に限らず、人は誰しもできる分野とそうでない分野があります。
だから得意分野以外は、他人にカバーしてもらえばいいのです。
鉄鋼王のカーネギーが墓碑に刻ませた言葉が、「おのれよりも優れた者に働いてもらう方法を知る男ここに眠る」というもので、僕の指針とする言葉の1つです。
つまり自分1人ではできないことだらけですが、それならば自分ができないことをできる人を味方につければいいのです。
これと同じようなことを言っている人、というかキャラクターがワンピースのルフィです。
ルフィは、仲間のナミを敵のアーロンから救い出すために戦っている時に、「俺は助けてもらわねえと生きていけねえ自信がある」と高らかに宣言します。
よく考えたらルフィは戦闘能力以外には優れた能力はありません。
料理もできないし航海術も知らないし医学も分かりません。
航海をするうえではこれらは致命傷です。
だからこそルフィはそれができる人を仲間にしますし、その仲間が傷つけられることは許さないのです。
ルフィと同じく海賊であるミホークが彼を評した言葉が、ルフィのそんな性格を最もよく表しています。
「能力や技じゃない。その場にいる者たちを次々に自分の味方につける。この海においてあの男は、最も恐るべき力を持っている」
さまざまな能力者が出てくるワンピースの世界の中で、そういった能力ではなくて人を味方につけてしまう魅力という、我々のいる現実世界でも持ち得る力を最も恐ろしいものと考えているのが非常に印象的です。