「名探偵コナン」の劇場版を見て

現在公開中の映画「名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)」を見てきました。

内容については触れませんが、全コナン映画を見てきた僕でも文句のつけどころがありませんでした。

 

最近のコナン映画は、昔に比べるとアクションメインだったりイケメンキャラ押しが目立ったりする部分がありますが、そうはいってもあくまで推理漫画です。

コナンに限らず推理もの全てにいえることですが、最も期待するのは謎を散りばめてそれを一気に回収する時の気持ち良さといえるでしょう。

それが土台にしっかりあったうえで恋愛要素であったり、アクションシーンを入れてほしいというのが

僕の願いです。

 

今回は特にミステリー要素が豊富だったので、「そういうことだったのか」という衝撃を連続でくらわされました。

僕的に一番の衝撃は、エンディング後のラストシーンです。

 

ファンの需要に合わせてラブコメ要素を多くしたり、イケメンキャラを登場させて暴れさせるのも必要だと思いますが、あくまで原点であるミステリー要素をこれからの映画でも大事にしてくれることを期待します。

 

コナンの映画を全て見たといいましたが、僕の個人的におすすめの3作品を紹介します。

20作以上あるので絞るのが難しかったですが、特におすすめできるものを選びました。

ちなみに最新作である「100万ドルの五稜星(みちしるべ)」は除外していますが、下記の3作に勝るとも劣らないくらいの内容でした。

 

1  天国へのカウントダウン

 

初期は特に名作揃いですが、その中でもあえて選ぶならこれです。

 

脱出不可能になったビル内に取り残され、さらに時限爆弾が仕掛けられているという状態で、コナンと少年探偵団は爆発と同時に車で飛び出し、爆風を利用して隣のビルに飛び移ることを決断します。

しかしこれにはタイミングが肝心で、爆発より早ければ落ちてしまい、逆に遅ければ爆発に巻き込まれます。

 

そこで残り30秒になったら、時間をピッタリ測れるという特技を持つ歩美が秒数を数えることになりました。

これが見事に成功し、コナンたちは無事隣のビルに飛び移ります。

その後明らかになる歩美が時間を測れるからくりが、ファンの間では胸熱のポイントとして知られます。(長くなるのでここでは書きません)

 

しかしそれよりも僕が胸熱だったのは、残り30秒をきってからの元太と光彦の行動です。

 

残り30秒になるまで爆弾を見て秒数を数える役の灰原哀は、30秒をきってからも車に乗ろうとしませんでした。

姉を殺されて人生に絶望していた彼女は、最後の1秒まで爆弾の前で秒数を数え、自分だけ死んでコナンたちを助けようとしていたのです。

 

その時に元太が走って行って無理やり灰原を車に乗せ、車から落ちそうになった灰原の腕を光彦が離さなかったことで灰原も助かります。

初期の頃の灰原はどこか暗く、周りに心を開いていませんでした。

しかしそんな彼女が自分の居場所を見つけられるようになったのは、このシーンからなのではないかと思われます。

 

2 探偵たちの鎮魂歌(レクイエム)

 

遊園地まで遊びに来ていたコナンたちは、入場の際に腕にフリーパスIDをつけられます。

しかしこれは腕時計型の爆弾で、コナンと毛利小五郎はある人物から、12時間以内に事件の謎を解かないと全員の分が爆発すると告げられます。

その事件のヒントは、その謎の人物から随時連絡が入り与えられました。

 

同じく幼馴染の遠山和葉を人質にとられていた服部平次とコナンは、その事件の詳細と犯人、その依頼人の正体まで突きとめます。

2人は依頼人のもとに向かい、自分たちの推理を披露しました。

 

依頼人は愛していた女性が犯人とされた警察の推理に納得がいかず、犯人が自分であることを証明する探偵を探していました。

しかし真実は警察の推理通りで、依頼人は犯人の犯行が終わった後に銃を発砲していただけで自分が殺したと勘違いしていたのです。

 

犯罪を共有することが愛という歪んだ考えを持っていた依頼人ですが、犯行直後の愛していた犯人に口封じのために殺されかけていたことも判明します。

やがて真犯人の女が現れ、その女の口からもそれが真実であったことが明かされて依頼人は絶望することとなりました。

 

その後コナンと服部はパスワードを打ち込んで爆弾の解除に成功します。

そのパスワードが何だったのか、そしてその後のコナンと依頼人とのやり取りがこの映画のハイライトです。

ネタバレしすぎたので、せめてそれについては伏せておきます。

 

愛とエゴイズムは表裏一体にもなりうるもので、歪んだ愛情は実は他人への愛ではなく自分への愛にすぎません。

そんなエゴイスティックな愛と、コナンたちの誰かを助けるための本当の愛が対照的に描かれています。

 

3 ハロウィンの花嫁

 

最近の映画でいえば、これがイチオシです。

 

世界を股にかける殺し屋であるプラーミャは、かつて自分を追い詰めた4人の警察官を始末するために日本に来ていました。

その4人のうち唯一生き残っていた安室透は、プラーミャに首輪爆弾をつけられ身動きがとれなくなります。

 

やがてコナンは安室や、プラーミャへの復讐を誓うエレニカの協力を得てプラーミャの正体を突き止めて追い詰めます。

プラーミャは逮捕されますが、プラーミャは自分の正体を知るものを全員始末するため、爆弾で渋谷の街そのものを吹き飛ばす計画を立てていました。

 

コナンは逮捕されたプラーミャを殺そうとするエレニカを説得して止めさせ、それより爆発を止めるための協力をすることを頼みます。 

この時にコナンの爆発を止めるための作戦が、過去の伏線をきれいに回収していて見事だと思いました。

またエレニカをはじめ全員が復讐よりも人助けを優先して、コナンの作戦のために全力をかけるところは感動すること間違いありません。

 

警察学校時代からの仲間たちの死を乗り越えて正義のために奔走する安室や、家族を殺された恨みよりも自分と同じ目に遭う人を減らす決断をしたエレニカなど、いろんな人の視点から楽しめる作品です。