目的ありきのキャリア論④ 目的の設定の方法

オリジナルの仕事の目的を持つべきだと書きましたが、ではその目的をどのように設定したらいいか、についてです。

目的は、その人がそれまでに考えたり経験してきたことの総括です。

社会や人間に対してこういう思いを抱いてきたからこそ、それをかたちにするためにどういう会社、仕事を選ぶかと考えると決めやすいと思います。

 

ここでもともと自分の好きなことがあったり、それまでの人生の成り行きでやりたいことが決まっている人は、わざわざそんなことを考える必要はありません。

例えば僕の知り合いでいえば、アルバイトでやりがいを感じてそこで正社員になったとか、福祉に興味があってその方向に進むためにこれまで資格をとってきたとかそういうパターンの人です。

僕はそうではなく、進路を決める段階で仕事にできるほどの知識や技能を持っておらず、これをやってみたいと思えるものもありませんでした。

そのためノートを用意してこれまでの人生で起こったこと、考えたことを書き出してそこから人生の目的を導き出すというやり方をとりました。

 

よく進路が分からなくて自分探しの旅に出るなどといって、新しい自分を見つけ出そうという人がいます。

しかしその人にはそれまで培ってきた考えがあるはずで、過去の自分からヒントとなるものを探してみるべきです。

若い時から自分の進路を考えるべきという意見もあるでしょうが、なかなか社会に出るまでにそこまでは分からないことが多いです。

僕はそれ以上に優先すべきなのは、学生時代にいろんな経験をしていろんなことを考えることだと思います。

将来のことを決めるよりも、目の前の取り組むべきこと、やってみたいことを全力で取り組んでみたら結局それが後になって答えを導いてくれます。

 

そのうえで就職を間近にした時や転職する時など自分の進路を考えるタイミングで、それまで自分が全力で取り組んできたことやその時に考えたことなどをノートや紙に書き出してみてください。

そうすることで自然と自分が人生をかけてやるべきことが浮かんでくると思います。

 

僕は学生時代に自分が将来何をしたいかということはあまり考えていませんでしたが、その代わり自分がおもしろそうと思ったことにはためらうことなく手を出していました。

読みたい本は買って読んだし、行きたい場所にはバイトで稼いだお金の大半を使ってまで行くようにしましたし、社会的な活動にも取り組みました。

どれも進路のためと思ってしたことではなく、ただその時楽しかったからやっていました。

その時に考えていたことが、思いがけず自分の進路を決めるときにおもしろいように1つの点になって人生の目的になったのです。

どういう経験とどういう考えから自分の目的を持ったかについては、次の記事で詳しく書こうと思います。

 

その目的はどれくらい具体的であるべきかということも問題になります。

よくいわれる「人の役に立ちたい」とか「社会の役に立ちたい」というのではさすがに抽象的すぎて、そのために何をするべきかまで考えられていないので、もう少し具体化したほうがいいでしょう。

とはいっても具体的にゴールを決めるのは難しいし、最初から決めすぎるとそれに縛られすぎて柔軟に生き方を変えるということができなくなります。

人生の目的はある程度抽象的でもいいし、そのための手段や目的自体も途中で変えてもいいというように融通の利く考え方にすることをおすすめします。

なぜならやりたいことが変わることもあり得るし、変化の激しいこれからの時代は柔軟に生き方や働き方を変えることが求められるからです。

 

人生のヴィジョンをしっかりと持ってそのための道筋まで具体的に考えておくべきだという考え方もありますが、実際無知な若い時にそこまでは考えられません。

もちろん若い時にそこまでしっかりヴィジョンを決めれている人もいるでしょうし、それはそれで素晴らしいことです。

しかしそうでない人は、抽象的で今後変わるかもしれないものでもいいと思って目的を仮決めすることをおすすめします。