目的ありきのキャリア論③ オリジナルの目的であるべき

前の記事で、仕事の目的を決めるなら他者貢献につながるものであるべきだと述べました。

それに加えて、目的はオリジナルなものであったほうがいいと考えています。

自分だけの経験、考えから至った目的であれば強い動機づけになるはずだからです。

 

仕事の目的はあっても、オリジナルのものではないという人も多いと思います。

例えば以下のようなものです。

 

・お金持ちになるため
もちろんお金は大事ですし、入社する会社の年収というのは誰だって気になります。
しかし年収と幸福感の相関関係は一定のところまで来るとなくなるそうで、そこからお金さえあれば幸せというのは安易な発想だと分かります。
お金は生活のためのものとして目的とは別のところにおき、目的には自己実現とか他者貢献といった、本当に幸福感につながるものをおいた方がいいかと思います。

 

・偉い人になるため
偉い人という言い方が曖昧ですが、この場合は出世したいとか地位を得たいという人が使います。
出世とか地位を得ることを目指すのはかまわないですが、お金の話と同じでそれを目的にするべきではないというのが僕の考えです。
何かを成し遂げるために手段として出世するというわけでなく、人の上に立ちたいということだけが動機なのはどうかということです。
人との競争、比較で勝ったとしても充実感を得られるのはその時だけで、最後には結局何がしたかったんだろうという虚しさが残ります。
実際にそういう人が多いというのを聞いたことがありますし、目的にはふさわしくないかと思います。

 

・成長するため
これも上の話と少し似ているかもしれませんが、それは目的ではなく手段ではないかと思います。
成長することを目的としている人は、何をもって成長というかが漠然としていることが多いです。
逆に成長を何かの目的のための手段ととらえている人は、成長の中身までしっかり決まっています。

 

・幸せになるため
これは間違ったことはいっていませんが、これだけでは漠然としすぎで、何をもって幸せとするかによることになります。
例えば金持ちになる、人の上に立つのが幸せという価値観であれば、結局は上に書いたのと同じ話に戻ってしまいます。
幸せとは何かというのは難しいですが、僕は他人の幸せが一緒にない、自分一人で完結する幸せはないと思っています。
何を成し遂げて誰と関わることで幸せになるのかというところまできっちり考えれた方が、より良いように感じます。

 

・社会貢献するため、誰かの役に立つため
これは前回の記事で書いた通り、ここでも主張していることです。
しかし漠然としているので、どういう社会が理想でそのために自分が何をしたいかまで具体化してイメージできたほうが仕事のモチベーションも上がるかと思います。

 

・家庭を持つため、守るため
これは人生の充実につながる素晴らしい目的なのですが、これにプラスで家族以外の人のためにもなれたと思える方が良いかもしれません。

 

また転職をしてどんどんキャリアアップをしていこうという考え方も主流になり、そのために働くという考え方もあるでしょう。

しかし、そこまでそれにとらわれないでもいいように思います。

転職というのは必要であればすればいいもので、絶対に一度はしておくべきというものでもありません。

最初に入った会社で一生勤めたいと思ったらそれでかまわないわけで、終身雇用の時代じゃなくなったからといってその選択肢がないわけではありません。

 

そもそもキャリアアップという言葉の意味が曖昧で、何をもってよいキャリアと考えるかは人それぞれです。

一般的にはキャリアアップとは年収、知名度の高い会社に転職することだと思います。

しかしそれだけを基準に会社の良し悪しを判断する、いわゆる大手病の選び方には自分軸が感じられません。

あくまで自分のやりたいこと、目的意識から選ぶのがいいと思います。

 

それに対しては大企業であったほうが安定しているし、スケールの大きい仕事ができるという反論もあるでしょう。

しかしそれには疑問があります。

まずこれからの時代はどの会社も不安定な状態に置かれるので、大手だから潰れないという保証もありません。

どの会社であれ、いつかなくなるかもしれないくらいの気持ちでいて間違いはないでしょう。

だから大企業に入ることが自分の将来の安全につながるということにもならないのです。

 

さらに大企業の方がよりスケールの大きい仕事ができて、より大きな社会貢献ができるという意見もあるでしょうが、これも他人軸の域を出ていない考え方に感じます。

その人の目的次第では、中小企業やベンチャー企業の方が自分のやりたいことに直結することもあるでしょうし、大事なのは何の事業をしているかであって規模の大きさではありません。

私の場合は地場産業を発展させたいという目的意識があるので地域に根ざした中小企業を選びましたし、大企業だけでなくそういう会社も力をつけないといけないと思っています。

ベンチャー企業でもおもしろい事業をしている会社はいっぱいありますし、新しい産業を起こしていくにはそういう会社が不可欠です。

 

そもそも社会貢献の度合いに大小をつけようもありません。

経済活動はもちろん社会を良くするためのものですが、悪影響をもたらす可能性もあるります。

なので大企業の方が多くの商品を世に出したから、より社会を良くしたというような単純なものでもありません。

 

大きい会社でより大きな仕事をしたいという志は素晴らしいですが、1人の人間が果たせる社会貢献の量は限られています。

後ろ向きな考えに聞こえるかもしれませんが、僕は微力でも社会のためになればそれだけで立派な人生だとむしろ前向きに考えています。

1人の人間が社会を大幅に変えたとか、大勢の命を救ったとか、そういう例はたしかにいくつでもあります。

でもほとんどの人はそこまでのことはできないわけだし、自分の活動の輪の中で全力を尽くせばそれで十分ではないでしょうか。

もちろんそういう人も現れないと時代は前に進まないので、否定する気は全くありません。

ただ、だからといって大企業じゃないといけないという理由にはならないと思います。

 

僕であれば地域活性化という目的を持っていますが、日本の地域活性化というあまりにも難しく政府でさえ苦労している問題を僕1人でなんとかできるとは思っていません。

僕のできる範囲のことをやればいいと思っています。

いわば会社を決めるというのは、大元の抽象的な目的をより具体化して自分が活動する範囲を絞っていく作業になります。

僕は自分なりに地域活性化につながると思う会社を選びましたし、その会社を発展させることが僕レベルでできる地域活性化なのです。

 

「働き方や生き方に正解はない」というのが、僕の考えです。

だからこそ世間一般でいわれる、ありがちな目的ではない自分だけの目的を持つことをおすすめしています。

とはいっても、どんな目的であれそれに誇りをもって働いているのであればそれは素晴らしいことですし、否定する気は全くありません。

最も大事なのは、自分がそれに満足できているかということです。