真の地域活性化とは何か

現在ウクライナ危機をはじめとした情勢の変化により、食料品などの価格が高騰して生活を打撃しています。
グローバル化によって国や地域が経済的に結びついたことはメリットだけでなく、外部に依存することでリスクが高まるという落とし穴もあります。
国内でも東京一極集中の状態から、地域に重きを置いた分散型の経済システムを構築することが求められます。
地域を活性化するうえでは企業を誘致することや政府の補助金に頼るという方向で語られることが多いですが、外部に依存することで従属関係ができてしまい、地域経済が都市や大企業の動向に左右されるリスクが大きい構造ができてしまいます。

 

外部に依存する経済はリスクが大きいだけでなく、生み出したお金が地域にとどまらずに漏れ出るという問題もあります。
都市部の大企業を誘致して利益を生み出したとしても、その利益の一部は地域から漏れ出て都市部へと流れ出てしまいます。
いかに地域で生み出したお金を地域内で循環し、滞留させるかが地域活性化においては肝心であり、そのためには地域に根づいた企業や地域の資源を使った商品を支援することが求められます。
食料の地産地消や地元の再生可能エネルギーを使った発電は健康や環境問題においてだけでなく、地域経済の観点からも必要不可欠だといえます。
この地域の漏れを塞ぐという考え方については、岩波新書から出ている枝廣淳子さんの「地元経済を創りなおすー分析・診断・対策」にくわしく書かれているのでおすすめします。

 

地域活性化とは非常に難しい問題であり、例えば人口を増やすことがその地域の発展と捉えるのは主流な考えかもしれませんが、そこには落とし穴があります。
なぜなら人口が減少している日本では、ある地域の人口が増えるということは別の地域の人口が減ることを意味するからです。
その考えで地域の活性化を進めると、特定の地域の切り捨てにつながるという恐れがあります。

 

国が進める地方創生の政策は「選択と集中」に基づくものであり、各地方の経済力が豊かな主要都市に集中してお金を投入しています。
それでは力のある都市は発展できたとしても、周辺の特に限界集落や農山村が切り捨てられることになりかねません。
小泉政権の時に「平成の大合併」が行われて多くの自治体が合併されましたが、これにも「選択と集中」の論理が垣間見えます。
行政の効率化を実現することは財政の負担を減らすことにはつながるかもしれませんが、中心部以外の地域へのサービスが低下してその地域が廃れるという皮肉な結果をもたらすかもしれません。

 

地域の活性化のためには、外部からよりも内部から盛り上げていくという視点が欠かせません。
人口が少なく経済力では劣るような地域でも、魅力的なところはいくらでもあります。
地元住民がその魅力に気づいて掘り起こしていくことが、その地域の活性化につながるはずです。
地域には昔からの文化や歴史、自然が引き継がれており、そこには先人たちの努力と知恵がつまっています。
効率化と称して、そのようなものを無駄だと切り捨てるようなことがあってはなりません。
資本主義経済では土地が投機の対象となって売買が行われますが、土地はその地域の人々の共通の資源であり、ないがしろにされてはなりません。